世間ではコロナウイルスが話題ですが、アメリカではインフルエンザが大流行しています。
実は筆者が、先日インフルエンザと思われる症状を発症しました。
海外で病気になった時、とても不安だと思います。
保険が効くのかわからない、言葉がわからない、どこの病院に行けば良いのかわからない、などなど。
筆者は医師ではありませんが、今回は医師編集・監修のもと記事を書いております。その点ご了承ください。
また自分の体験の一例をお話しているので他にもっと良い手があるかも知れません。その点もご了承ください。
ちなみに筆者は、現在、アメリカ東海岸のペンシルバニア州、フィラデルフィア在住です。
インフルエンザの症状
インフルエンザ | 風邪 | |
発熱 | 38℃以上 | 37℃以上 |
悪寒・頭痛・関節痛・倦怠感 | ある | 少ない |
喉の痛み・鼻づまり | 全身症状に続いて発症 | 初期から見られる |
咳 | 強い | 軽い |
簡単にまとめるとこの表のようになります。しかしこの表通りなんてことは一切ありません。
筆者の場合、
一日目夜、咳が出始める→38℃→ロキソニン服用(インフルエンザでは禁忌!)→二日目36℃→三日目39℃→病院へ
という流れです。先に喉の痛みが出ていました。
三日目、正確には39.7℃ですが、起きた瞬間ものすごい倦怠感と関節痛と頭痛でした。普通の風邪ではないと誰もがわかると思います。
インフルエンザの解熱剤(カロナール、ロキソニン?)
解熱剤として代表的な商品に、ロキソニン、カロナール、ボルタレン、バファリン、ブルフェン等があります。いったいどの薬が一番良いのでしょうか?
インフルエンザの時に飲んで良い解熱剤
ジクロフェナクナトリウム(市販名:ボルタレン)はインフルエンザ脳症を悪化させ、死亡率が上がる、と厚労省は報告しています。
また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であるバファリン(アスピリンなど)、ポンタール(メフェナム酸)、ロキソニン(ロキソプロフェンNa)、ブルフェン(イブプロフェン)などは、インフルエンザ脳症の発症リスクを高め重症化を招く恐れがあると報告されています。
一番安全なのは、アセトアミノフェン(市販名:カロナール、タイレノールA)です。
アメリカでも、薬局でこれらの解熱剤は売ってます。
インフルエンザ脳症とは
インフルエンザウイルス感染に伴う発熱後、急速に神経障害・意識障害を伴う症候のことで、主に乳幼児に見られますが、成人にも発症例はあります。
海外で病気になったらどこの病院に行く?
さて、病院に行かないといけません。
緊急時は、サクッと見てもらい、処方箋をいただきたい所だと思います。
そんな時は、google mapで
Urgent care
と検索しましょう!
基本的に大きな都市であればどこにでもあるかと思います。
前にアメリカのCVS(日本でいうウェルシア、スギ薬局のような店)の薬局の薬剤師さんに聞いた時、urgent careに行って処方箋もらうのが一番早い、と言ってました。(エビデンスレベル激低)
オンラインで予約できる所もあります。基本的に直接行っても大丈夫です。
今回は、my Doc urgent care に行きました。
今回、朝一番に直接行きました。それでも4人くらい並んでいたので早めに行った方がいいと思います。
病院での手続き
問診票(interview sheet)
病院に入ると問診票(interview sheet)をもらいます。
筆者の行ったところは、アレルギーを書く欄とかなく、意識朦朧としていたので曖昧ですが、
名前・住所・連絡先、緊急連絡先(書かなくても良い)、何故病院にきたか?(What brings you here?)
だけだったと思います。
僕は、最後の質問 (What brings you here?) には、
I may have a flu. (flu=influenza)
と書きました。伝わったので良しとします(笑)
海外旅行保険について
問診票を提出すると保険(insurance)に入ってるか聞かれます。
筆者は、ダイナースのクレジットカードに付いてる海外旅行保険プラスに入ってます。
この保険を実際取り扱ってるのは東京海上日動さんで、24時間対応の海外電話窓口もあります。日本語対応もしてくれます。
保険に入ると、海外旅行保険被保険者証(英語の翻訳付き)をいただくと思いますが、それを提示しました。
しかし!!受け付けられないとのこと!!
でも焦るかもしれませんが、安心してください。
日本の海外旅行保険に入ってる場合は、先に自分で負担し、後から日本に帰ってから請求するタイプのものが多いです。心配な方は、事前に電話などで保険会社に聞いておきましょう。
筆者の保険は、後から請求でカバーされるとのことでした。ちなみに病院までの交通費(UBERなど)も負担してくれるようです。
現地の保険に入ってる場合はそこで、ディスカウントが受けられたり、免除されるようです。
なので、一度自腹切りましょう。カードも使えます。
診察を受ける前にお会計
診察を受ける前に初診料を払います。ここは日本と異なりますね。
初診料は、$99でした。レシートをもらうのを忘れないようにしましょう!(Could I get a receipt?)
この後、追加で検査があると、また後で料金請求するよ、と説明されます。
最高でいくらかかるか聞いてみたところ、検査によって料金は変わるので答えられないと言われました。
検査をする場合は、その前にドクターから料金の説明があるよ、と言われたのでおとなしく待ちます。
処方薬を受け取る薬局の場所
お会計の前か後か忘れましたが、自分のかかりつけの薬局(Pharmacy)について聞かれます。
そんなのないよ、って言う人も心配ありません。アメリカなら至る所にあるCVSに薬局は付随しています。
判らなければ
Where is the nearest pharmacy?
と聞けば良いでしょう。
アメリカでは、処方箋を作ると同時に薬局に情報を送っているようです。なのでこの時指定したところ以外では受け取れないと思います。
診察について
名前を呼ばれて、個室に入ります。
まず最初に体温・血圧・脈拍・血中酸素濃度を計られます。おそらくナースさん。
そこで問診されます。判らなければ何度でも聴き直した方がいいです。
保険会社によっては、電話をつなぎながら、その場で同時通訳して貰える場合もあるので、事前に聞いてみましょう。
筆者はイキって自力でいこうとした為、しっかり覚えてはいませんが、質問は、
- アレルギーはないか
- どんな症状か
- 過去30日以内に海外に出かけたか
- 過去30日以内に海外に行った人と接触したか
だったと思います。1、3、4、はyes、noで答えられます。
2はbody aches(関節痛), cough(咳), high fever(高熱), sore throat(喉の痛み),chills(悪寒)
などと答えたような気がします。
その後別室に連れて行かれ30分くらい待たされました。謎です。
ドクターが来ると、症状の確認をされた後、聴診器を当てられ、深呼吸して、と言われます。
breath inと言われたら吸って、breath outと言われたら吐きます。
すると、
『症状からしてインフルエンザだと思うから、処方箋もらって薬飲みな、よく水分とって、たくさん寝ることが大事だよ!』
あれ?検査無いの??っと質問する暇もないほど、さーっと出て行ってしまいました。
インフルエンザの迅速検査の意義
インフルエンザの検査は感度(罹患してる人が陽性になる確率)が低く、陰性であってもインフルエンザに感染していることは良くあります。
日本でも、医師が、検査を行なわずに症状からインフルエンザである、と診断することは可能です。
つまり検査は必ずしも必要ではないです。しかし、白黒はっきりさせたいと思う人が多いので、検査を行なっているのだと思います。
また一緒に住んでいる家族がインフルエンザに感染した場合等、予防的に抗インフルエンザ薬を処方してもらうことも出来ます。ただしその場合は、保険が効きません。
処方箋交付
待合で待っていると、名前を呼ばれます。受付に行くと処方箋の説明をされます。
咳用の薬とタミフルを処方されました。
そしてお会計いくらかかるのかそわそわしていると、
「All set!」(以上で終わりだよ)
と言われました。処方箋代も初診料に含まれているようです。
以前、喘息で訪れた時もそうだったので同じようです。
Urgent Careの評価
個人的な評価ですが、Urgent Careは、自分で病名がほぼわかっていて、処方箋の必要な薬(ステロイドや抗インフルエンザ薬)が早く欲しい場合は適していると思います。
基本的に、必要最低限の検査しか行わないようです。その代わり早く、安く済みます。
逆に自分で診断できない症状がある場合は、大学病院のような大きい病院でしっかり検査した方がいいと思います。時間はかかると思いますが。
薬局へ
日本のように病院のすぐそばに薬局があるわけではなく、徒歩10分くらいの距離でした。
受付で名前を告げると、また、保険はあるか、と聞かれます。どうせ後から請求なので、無い、と答えると、座って待ってろ、と言われ、待ちます。
そしてお会計$20払い、家路に着きました。ちょっと安いな、と感じながら。
しかし、家に着くとタミフルがない!!!
仕方ないので、高熱の中、再度薬局へ。
すると
「タミフルは、保険無いと$60するよ?それでもいるの?」
さっきそんなこと聞かれてないな、と思いながらもやっとタミフルを手に入れました。
みなさんは薬を受け取ったら、必ずその場で確認しましょう。アメリカでは、処方箋に書いてあるもの全てを必ず出してくるとは限りません。
最後に
今回かかった総額は、約$180でした。
今回は保険でカバーされるので問題ないですが、逆に保険がなくてもこれくらい、という事です。決して払えない金額では無いと思います。
もし保険に入らないで海外に来てしまい、病気にかかっても、無理せず、薬をもらって安静にしましょう。
もちろん、一番良いのはきちんと海外旅行保険に加入する事です。安心感が違います。日本でも現地でもどちらでもいいので、しっかり加入してから海外生活を楽しみましょう。
編集・監修:若手医師Dr.しまお
国立大学医学部卒、神奈川県内の大型病院にて研修後、現在同病院医局所属。