歯磨きをする場所は、いつものルーティンで決まっていると思います。

洗面台の前でしっかり磨く人、テレビ・YouTube見ながらダラダラ磨く人、お風呂で磨く人、寝ながら磨く人、いろいろいると思います。

今回は、ある歯科医院さん*1やインターネットアンケート会社*2を通したアンケート結果を見ながら、おすすめの磨き方を探っていきたいと思います。。

ちなみに、結構調べてみましたが、いつ、どこで歯を磨くかによって、効率が上がるなどの論文(エビデンス)はありませんでした。

それではアンケート結果を見ていきましょう。

歯磨きの習慣について

140名(男50人;女90人;平均年齢47.2歳)にアンケートした結果。(複数回答可)

<場所>
洗面台:128人(91.4%) 
その他(居間など) 17人(12.0%) 
<歯磨き剤>
付ける: 118人(84.3%) 
付けない: 21人(15.0%) 
<姿勢>
立つ: 128人(91.4%) 
座る; 19人(13.6%) 
<唾を>
吐き出しながら: 129人(92.1%) 
飲みながら: 28人(20.0%) 

またインターネットアンケート会社による結果。(複数回答可)

ほとんどの人が洗面所で、立ったまま、歯磨き粉を使って、吐き出しながら、歯磨きをする、と言えますね。

歯を磨くタイミング

いつ、歯を磨きますか?という質問に対する結果です。(複数回答可)

朝食後と就寝前に磨く人が多いみたいですね。

歯磨きにかける時間

立って磨く人と座って磨く人の歯磨きの時間についての結果です。

座って磨く人の方が、長い時間磨いていることがわかります。

歯垢付着度

歯垢を赤く染めだす液を使って、立って磨く人と座って磨く人の歯垢付着度を測定しました。

明らかに、座って磨く人の方が、歯垢付着度が低く、綺麗に磨けています。

考察:どこで歯磨きをすればいい?

磨き方がわからない人

初めは、洗面台や鏡のあるところで毛先の当たっているところを見ながら磨きましょう。

磨き方をマスターした人

どこかくつろげる場所で座ってしっかり磨きましょう。どうしても立っていると、自分が思っているよりも早く、終わってしまう可能性があります。

お風呂での歯磨きは?

問題ありません。しっかり磨く時間も確保できますし、副交感神経が優位になり、サラサラな唾液も出ます。

しかし、お風呂での歯磨きの問題点は、歯磨きが終わった後、シャワーを使うと、過度にゆすいでしまうことです。せっかくのフッ素が流れてしまうので、その場合は、お風呂出た後に歯磨き粉をつけた歯ブラシで歯に塗り込むために、もう一度磨いた方が良いです。

結局二回することになりますが、仕上げの歯磨き粉によるフッ素のコーティングさえできれば、おすすめです。

若返りホルモン:パロチン

ちなみに、たまに言われている唾液腺から出る若返りホルモン、パロチン、に関しては、あまり信憑性はなさそうです。昔は白内障の治療薬として使われていたようですが、現在販売中止になっています。以下の論文では根拠不十分とされています。残念ながら若返りの効果もないかもしれません。

白内障治療薬の現状:エビデンスはあるのか?

考察:いつ歯磨きをした方がいい?

夜寝てる間に唾液の分泌が減り、朝、お口の中の菌が増えることがわかっています。

(Nolte,W,A: Oral microbiology with basic microbiology and immunology, 4th edition, 198−201)

それを防止するために、就寝前の歯磨きは外せないと思います。

理想を言えば朝食前、朝食後、昼食後、就寝前の4回ですが、、、

なるべく省エネでいきたいなら、人によるところがあると思います。

高齢の方で、誤嚥性肺炎の危険がある人

朝食前、朝食後2回の歯磨きがおすすめです。

夜寝てる間に増殖した細菌を朝の食べ物と一緒に飲み込むことによって誤嚥性肺炎を起こす可能性があるからです。

また、要介護高齢者の歯垢(プラーク)に誤嚥性肺炎の原因菌となる微生物が多く検出された、との報告があります。

Colonization of dental plaque by respiratory pathogens in dependent elderly. (Arch Gerontol Geriatr. 2007 Mar-Apr;44(2):119-24)

ただし、自分で歯磨きを行える高齢者は当てはまらないかもしれません。以下の研究でウェットシートによる清拭と比べて、自ら口腔ケア(歯磨き)を行える高齢者は、一般的な人と細菌数に違いはなかった、という報告もあります。歯磨きの力がすごいということですね。

虚弱高齢者の口腔細菌数の実態(城西国際大学)

また、以下の論文ではしっかり毎食後口腔ケアを行なうと、発熱や肺炎発生率が下がったと報告しています。

誤嚥性肺炎予防における口腔ケアの効果

結局、タイミングは関係ないのかもしれません。高齢者の方は他の疾患の予防のため、しっかりと口腔ケアを行うことが大事です。

それ以外の人

朝食後をオススメします。

やはり食事の後に磨いて、歯に詰まった食べ物を取り除いた方がいいと思います。

朝の起きた時の、口の中の細菌が気になる人は、朝食前は、マウスウォッシュで口をゆすぐといいと思います。

朝食を美味しく食べたい人は、水でゆすぐか、歯磨き粉をつけずに歯を磨いても良いです。もちろん食べ終わった後は、またしっかり磨きましょう。

おすすめの磨き方

これらの結果をまとめると、個人的にオススメな歯の磨き方は、

まとめ

朝食後と、就寝前に、座って、あまり泡立たない歯磨き粉を使い、唾は気持ち悪ければ1−2回洗面台に吐き出しにいって、磨く、です。

もちろん唾は飲み込んでも害はありません。気持ちの問題です(笑)

最後に

大事なのは、いつ、どこで、という事より、毎日最低2回、歯をしっかり磨くということです。

ADA(American Dental Association)は、適切な歯ブラシを用いて、フッ素入りの歯磨き粉を使い、一日2分、2回の歯磨きを推奨しています。2分は少し少ない気がしますが。詳しくはこちらから。

習慣を変えるのは難しいことですが、頭の片隅にこの知識を置いておく事で、ふとした時に思い出すかもしれません。

一人一人にあった磨き方が違うと思うので、歯医者さんで相談するのも良いと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

*1https://www.takeuchi-dentalclinic.com/menu/shukan.html

*2https://research-panel.jp/rpdr/view.php?eid=510169