一時期TVなどで話題になっていましたね。

確か、食事後、すぐに歯を磨くと歯が溶ける、というお話だったかと思います。

筆者は聞いた事がありませんでしたが、昔は「3・3・3運動」というのがあったようです。

どういうことかというと、一日3回、3分間、食後3分以内に磨こう、というものだそうです。

一体どっちが正しいのか?それを根拠のある論文(エビデンス)から解説して行きたいと思います。

食後の歯ブラシが良くない、という根拠となった論文(エビデンス)について

この論文の実験について簡単に解説します。

Brushing abrasion of softened and remineralised dentin: an in situ study. (Caries Res. 2004 Jan-Feb;38(1):62-6.)

実験の対象は、酸蝕症の人の象牙質

酸蝕症とは

まずは酸蝕症について知らなければなりません。

酸蝕症(さんしょくしょう、英: erosion)は、歯の硬組織、特にエナメル質が種々の要因によって侵蝕されること。侵蝕症とも。歯の化学的な損傷の一つである。酸蝕症に罹患した歯を酸蝕歯(さんしょくし)という。生活習慣病の一つととらえられている。酸の作用によって脱灰される現象であるが、細菌が関与していないという点でう蝕と異なっている。 症状が進行すると冷たいものが歯にしみる知覚過敏や虫歯のような痛みを引き起こす。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

原因として考えられるのが、

  • メッキ工場やガラス細工工場などにおいて酸性のガスに曝露、吸引するような産業性のもの。
  • 清涼飲料水、スポーツドリンク、ワイン、一部の果汁、ハーブティー、酢などの食品の摂り過ぎによるもの。世界保健機関(WHO)は酢や炭酸、クエン酸やアスコルビン酸の消費量に比例して歯が侵食されると報告している。
  • 逆流性食道炎、拒食症など、胃酸によるもの。
  • ビタミン剤やアスピリンといった酸性の薬剤によるもの。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

となっています。

象牙質とは

知っている人も多いと思いますが、歯の構造を知らなければいけません。

歯は一番外側に硬いエナメル質、その内側に象牙質があり、さらにその内側に歯髄(歯の神経)があります。

この実験では、その象牙質を対象としています。

なぜこの実験が行なわれたかというと、普通の歯は表面をエナメル質で覆われています。しかし酸蝕症の人はエナメル質が溶けて、象牙質が露出している人がいるからです。

実験内容

象牙質の試験片を炭酸飲料(スプライトライトです笑)に、90秒間、2回浸けた後、歯磨きを開始する時間の違いによる摩耗をみた実験になっています。

その結果、浸けた後30分空けた方が歯の削られる量が少なかった、という結果になっています。

食後の歯磨きのタイミングは?

さて、結局、食後の歯磨きはいつした方が良いのでしょうか?

一般的な人

酸蝕症の症状のない人は、すぐ磨いても基本的には問題ありません。

もちろん、歯磨き粉はフッ素入りの研磨剤の少ないもので、柔らかい歯ブラシが良いです。

ただ、すぐ磨くと、歯の溝に詰まった粘着性の食べ物(例:チョコレート等)が、取れなかったりします。

その場合は、唾液が浸透して、取れやすくなるまで、少し待っても良いです。

しかし、食後30分待つと、磨くことを忘れてしまう人が多いと思います。なので忘れるよりは、すぐに磨いた方が良いので、個人的には、すぐ磨くことをオススメします。

食後に磨く、ということが大事なのです。タイミングではありません。

酸蝕症またはその傾向がある人

仕事柄、酸性のガスを使用する人や、炭酸や酸性の物をよく口にする人、歯医者さんで酸蝕症の疑い有りと言われた人、は要注意です。具体的に、4つ以上異なる酸性の物(例:清涼飲料水+ワイン+ビタミン剤+酢)を摂取している人は、かなりリスクが高いです。

酸蝕症の場合は、30分ではなく食事後1時間は歯磨きしない方が良いです。

実はエナメル質は硬いため、溶けるのは遅いですが、再石灰化も時間がかかります。なのでエナメル質のことも考えると1時間は空けた方が良いです。

しかし1時間歯磨きしないのはなかなか難しいですし、そこまで神経質になる必要はありません。

その場合は、フッ素入りのマウスリンス(洗口剤)で、無ければ、お茶、水でも良いので、うがいをして、酸を洗い流してから歯磨きを行うと良いです。

子供の食後の歯磨きはいつが良い?

日本小児歯科学会が提言を出しています。気になる方はこちらから。

日本口腔衛生学会の報告は、こちらから。

簡単にまとめると、食事後は早めに歯磨きをして下さい!という事です。

毎日歯磨きしている人は、癌になる可能性が低い

毎日歯磨きをしている人は、毎日磨かない人よりも癌の発症率が低いという報告があります。信憑性は高くないですが、参考までに。

Frequency of Daily Tooth Brushing and Development of any Type of Malignancy. Anticancer Res. 2019 Aug;39(8):4415-4421. 

最後に

ネット上には様々な情報がありますが、間違った情報もたくさんあります。

歯科医師であっても、今回の意見と反対のことを述べていらっしゃる方もいます。食後の口腔内は酸性なので、歯磨きをすると歯が傷付く等と言っていますが、少なくともそのような論文は見たことがありません。

この記事の内容も誤った情報を流しているつもりはありませんが、もちろん間違っている可能性はあります。

それでも少しでも正しい情報をお伝えできたら良いなと思って、このサイトを立ち上げています。

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