電動歯ブラシ使った方がいいの?とプライベートで良く質問されます。

その時、ちゃんと説明できますか?この記事で曖昧なところをスッキリさせましょう。

電動歯ブラシと手用歯ブラシの効果

Powered versus manual toothbrushing for oral health. (Cochrane Database Syst Rev. 2014 Jun 17;(6):CD002281)

こちらの論文によると、電動歯ブラシの方が1−3ヶ月または3ヶ月以上においてもプラークと歯肉炎を軽減すると報告されています。

しかし、臨床的に明らかであるとは言えない、と報告されています。

The effectiveness of manual versus powered toothbrushes for plaque removal and gingival health: A meta-analysis.(J Indian Soc Periodontol. 2012 Apr;16(2):156-60.)

この論文では、電動と手用では有意差がないが、イオンブラシでは有意にプラークと歯肉炎を軽減した、と報告しています。

このように論文によって解釈が異なりますが、おそらく電動と手用では、ほとんど差はない、といって良いのではないのでしょうか。

回転式電動歯ブラシは手用歯ブラシより効果あり。

Manual versus powered toothbrushing for oral health.(Cochrane Database Syst Rev. 2005 Apr 18;(2):CD002281.)

回転式電動歯ブラシは、手用歯ブラシより歯垢と歯肉炎を減少させる、と報告されています。

電動歯ブラシの利点

使用法が簡単

短時間で行える

複数人で使える

しかし、機種によっては一人での使用を勧めるものもあります。

電動歯ブラシの欠点

重い

電力源が必要

高価である

使用法が簡単で、短時間に全体をブラッシングできることなどから、矯正装置装着患者、小児、身体障害者、高齢者に有効である、と以下の総説は述べています。

(Effectiveness of M anual Versus Powered (Electric) Toothbrushes on Plaque Removal and Gingival Inflammation)

フィリップス・ソニケアのブラシヘッドの研究

音波振動式電動歯ブラシのプラーク除去効果 (https://doi.org/10.2329/perio.55.140)

3種類のブラシヘッドを用いてプラーク除去率を比べたものであるが、どのブラシでも大きな変化は無かった、と報告しています。

毛の硬さなどよりも、磨き方が重要であるということですね。

極細毛と歯周病についての研究

極細毛音波歯ブラシの歯肉傷害と臨床効果ならびにポケット内細菌への影響 (https://doi.org/10.11471/shikahozon.58.306)

この論文では、手用の極細毛歯ブラシと電動の極細毛歯ブラシとで、歯周ポケット内のプラークコントロールを見ており、極細毛の電動歯ブラシを用いても、歯肉への障害、擦過傷はなく、安全に使用できる、と報告しています。

また、手用と比較して、電動の方が歯周病細菌数の有意な減少を認めたため、ポケット内に毛先が到達し、高振動によるキャビテーション効果により細菌叢に影響を与えた可能性を示唆しています。これは歯周ポケット内に酸素が供給され、嫌気状態が改善されたからだと考えられます。

超音波歯ブラシはペースメーカーには影響なし

公益財団法人 日本心臓財団から引用

”電動歯ブラシ・超音波歯ブラシのペースメーカへの影響については、影響はありません。
この2種類とも充電式の電池で働いています。その点充電式の電気カミソリと同様で、それらから有害な電波を発する能力はありませんので、ご心配なく使用してください。
これまで歴史の古い電気カミソリでペースメーカの患者さまに問題が起こったことはありません。また病院などでペースメーカの患者さまに、超音波検査が普通にまた問題なく行なわれています。そして問題が起るはずもないと考えられています。

しかしメーカーの中には、使用上の注意として「ペースメーカ」の患者さまは使われないように等と書いています。これはペースメーカのことをまったく知らないで書いていると考えざるを得ません。

世間では携帯電話が飛行機の計器類や医療機器に影響すると放送されていることから、関連付けて、歯ブラシにまで想像しているのでしょうが、携帯電話は電波を交信する機械であり、歯ブラシは振動させるだけの器具ですから全く関係はありません。”

だそうです。安心してペースメーカーの患者さんにも勧められますね。

最後に

今回初めて、歯科医療従事者向けに記事を書いてみました。

内容があっちこっちいったりしてますが、今後もう少しうまくまとめていければと思います。

何か間違ったところなどあればご指摘いただけると助かります。