保険適用の銀歯がなんとなく良くないことは知ってるけど、なんでかは知らない。そんなあなたに銀歯のデメリットを解説していきます。
銀歯に使われる金属は、大きく分けて2種類あります。金銀パラジウム(以下、金パラ)とアマルガムです。しかし最近ではアマルガムはほぼ使われていない為、今回は金パラをメインにお話していきます。
金パラの成分はJIS規格で決められており、金12%、パラジウム20%、銀50%、銅16%、その他2%となっており、貴金属の割合が少なく、化学的に不安定で口の中で溶け出す可能性があります。
ちなみに医療先進国のドイツでは銀歯の成分のパラジウムの使用は禁止されています。スウェーデンでも妊婦と小児には使用禁止です。
それでは銀歯にどんなデメリットがあるのか見ていきましょう。始めに言っておきますがメリットはありません。(笑)
銀歯のデメリット
二次的な虫歯
銀歯が外れた、取れた、はよく耳にすると思います。
基本的に歯と銀歯は化学的に接着しないので、セメントという材料を使って歯と銀歯の隙間を埋めたり、銀歯をパズルのピースのように形作って、外れないようにします。
しかし、保険の銀歯は基本精度が高くないので、始めから隙間がある事があります。無かったとしても金パラは溶け出しやすいので少しずつ隙間ができていきます。セメントも水分に弱いので、唾液によって少しずつ溶け出していき、その隙間に虫歯の菌が入ると歯ブラシも届かない為、気付かない内に中が虫歯になっている事があります。
セメントが無くなったり、中の虫歯が大きくなると銀歯は外れてきます。そうなると再治療が必要になります。
歯はとても小さいので、治療を繰り返す事で最終的に抜かなければいけなくなる可能性が高くなります。再治療の可能性を少なくする為に、白いセラミック系やゴールドの材料をお勧めします。
金属アレルギー
高温多湿の口の中では、金属は酸化腐食しやすく、唾液に溶け出してイオン化した金属がタンパク質と結びつきアレルギー源となります。これが体内に蓄積されていくと花粉症と同じようにアレルギー反応が起こる事があります。
金属アレルギーによる症状は口の中だけではなく、全身に及ぼす場合もあります。
口の中・周辺に症状が現れる病気
- 口内炎
- 口唇炎
- 味覚障害
- 口腔扁平苔癬
全身に症状が現れる病気
- 掌蹠膿疱症
- アトピー性皮膚炎
- 脱毛症
歯周病や口臭
金属イオンの影響でプラーク(歯垢)が溜まりやすくなります。プラークが溜まると、銀歯の部分は虫歯になりませんが、歯と銀歯の境目の部分が虫歯になったり、酸化腐食反応が促進したり、歯周病や口臭の原因になることもあります。
つまり、銀歯の歯は健康な歯よりも虫歯、歯周病リスク共に高くなります。
メタルタトゥー
溶け出した金属のイオンが歯肉に沈着して、黒く変色させます。前歯にできると審美障害になり得ます。
天然の歯が割れる
銀歯は硬いので、咬みあっている反対側の歯が通常より、すり減ってしまったり、割れてしまう事があります。
治療法
銀歯を取り除き、その下に虫歯があれば虫歯も取ります。虫歯の大きさや元々の銀歯の大きさによって治療法が異なります。
小さい範囲:コンポジットレジン(来院回数目安1回)
特殊な光で固まるレジンという材料を用いて虫歯の穴を詰めます。
中くらいの範囲:インレー(来院回数目安2−3回)
虫歯を取った後、型取りをして、出来上がってきた詰め物(インレー)を接着剤を使って詰めます。
大きい範囲:クラウン(来院回数目安4−6回)
神経まで虫歯が進行していた場合等は、歯全体を削り、被せ物(クラウン)をします。
最後に
僕も含め歯医者は自分や身内には絶対に銀歯は勧めません。
みなさんもよく考えてから治療を選択してください。
先進国の中で、銀歯を使っているのは日本くらいなので特に最近の文献などはありませんでした。
それにしても指輪やネックレス等、体に触れるものにはパラジウムは使われません。それがなぜ今だに口の中で使われているのか・・・日本の保険診療の闇ですね。